というわけで、9月の旅行記の続きを今書きま~す。
【前回までのあらすじ】
楽しみにしていた四国旅行。まずは松山に降り立ち、いよてつを堪能しつつ道後温泉と松山城を堪能、そこで「いよ子」に一目ぼれ。路面電車に乗るのが楽しくてバスにあまり乗らなかったのは内緒。
翌日は八幡浜と宇和島へ。八幡浜でちゃんぽんを食し、宇和島で鯛めしを食する。宇和島バスのカッコよさにやられるが、超複雑な宇和島バスの路線網を理解するのに一苦労し、その分バスに乗る時間が減ってしまうという本末転倒。
そして次の日、予土線の「ホビートレイン」というふざけた新幹線もどき(誉めてます)を早朝から堪能。窪川駅発の「平日なのに曜日限定」なコミュニティバスに驚愕。もちろん怖くて乗れず、ここから高知方面に向かって出発~!
やなせたかし先生の無駄遣い、ごめん・なはり線に乗る
宇和島を朝6時ころに出発、高知についたのは11時過ぎでした。遠いな~。
高知を観光するという手もあったのですが、坂本龍馬に一切興味のない私、不意に室戸岬まで足を延ばしてみたくなり、高知駅で土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」に乗り換えます。
そうそう、JR四国は、アンパンマンに力を入れていて、JRの駅にはアンパンマンの等身大(多分)人形があったり、そして何より「アンパンマン列車」が走っていたりします。多分、相当なお金が動いているんじゃないかな~。
一方、第3セクターの「土佐くろしお鉄道」はというと…訳の分からないキャラクターがうようよと書かれた電車を走らせています。もちろん一両編成で。(写真は見づらくてスマソ)
しかも、その訳の分からないキャラクターの等身大(多分)人形が、各駅ごとにお住まいになっている。
訳の分からないとか言うな!このキャラクターたちは、アンパンマンの作者であるやなせたかし先生が、開業前から赤字が見込まれていた「ごめん・なはり線」を盛り上げるために、ノーギャラで献上なさったものなのだぞ!しかも、駅の数(20)だけキャラクターがいて、それぞれ名前がついているのです。
ちなみに、阪神の安芸キャンプでお馴染み、球場前駅のキャラクターは「球場ボール君」だそうな。アンパンマンとやってることは同じだな。こっちは金にならないけど。
ちょっと話がナイル川並みに蛇行してしまいました。室戸岬まで行くのでしたね。本来なら、「ごめん・なはり線」で終点の奈半利駅まで行くのですが、たまたま乗った列車が安芸駅どまりだったので、安芸駅から室戸世界ジオパークセンター行きのバスに乗ります。
運行している会社は「高知東部交通」という、何のひねりもない名前の会社。「高知県交通(現・とさでん交通)」を地域分社化してできた会社のようで、調べてみると高知東部というよりは室戸市・室戸岬周辺エリアしかない会社のようですな。大阪方面や高知空港への高速バスも手掛けたものの、今は運行していないらしく、唯一安芸から高知への高速バスがあるくらい。
とにかく、遠いですな室戸岬は。安芸駅から乗って、途中奈半利駅に寄った後、延々と海岸沿いの一本道をガンガン飛ばして突き進んでいく…かと思うと、たまにわきの集落がある道に寄ったりする。乗客は、安芸駅からは私も含めて数人。途中の奈半利駅からさらに数人乗るといった具合。
その中にあるのが、高知東部交通室戸営業所。ここで一旦停車して、乗務員交代をします。アナウンスとか、何もなかったけどwww
高知東部交通は、安芸営業所と室戸営業所の2営業所体制ですが、室戸営業所はかなり小ぶりの営業所。10台強しか停められないのではないでしょうか。
ついたぞ、室戸岬!海と岩があるよ
かくして安芸駅から約80分、やっと室戸岬につきました。遠かった~。
バス停のすぐそばで、中岡慎太郎の像が、太平洋を見つめている。(中岡慎太郎に対しては、特に感慨はないけれども)
行った日は快晴だったが、荒々しい海と岩。
…いや、それしかなかったのですがね。帰りのバスまで一時間弱、心が洗われましたね。
一日で、四国の西側の宇和島から、東側の、そして南端の室戸岬までの強行軍。室戸岬についた時は、14時ごろでした。
本当なら、ここから「室戸ジオパーク」まで足を延ばしたり、「廃校水族館」に寄ったりしたいところなのですが、宿を高知に取っていたので、寄れずじまいでした。本ページの趣旨を考えたら、寄っておきたかったなぁ。
これから注目をあびるかも、室戸岬エリア観光
なぜかというと、「室戸ジオパーク」は、バスの乗り換えポイントとなっていて、ここから高知東部交通の「甲浦岸壁」行きに乗ることで、阿佐海岸鉄道の甲浦駅までアクセスできるのです。
そう!DMV(デュアル・モード・ビークル)を導入することが決まっている阿佐海岸鉄道ですよお客さん。DMVというのは、簡単に言えばレールの上と公道の両方を走ることができるマイクロバスで、JR北海道が導入しようとして頓挫したアレです。身もふたもないことをいえば、道路事情が良くなった現在、ローカル鉄道の上に無理してマイクロバスを走らせるより、普通のバスを走らせた方がよっぽど速達性も輸送力も優れているのですが、マイクロバスでも現在の利用者数に対する輸送力は十分に確保できるうえ、変形ロボットよろしくモードチェンジをする乗り物が鉄路と道路の両方を走るということ自体が観光資源という涙くましい物語がそこにはある訳です。
もちろん、DMV運行で採算を取れるとは考えていないでしょう。鉄道より安い維持経費でランニングコストを下げるとともに、観光客増加により地域経済を活性化させ、そのおこぼれとして地域の公共交通機関を守ろうという…もう、書いてて涙が出ちゃう。
阿佐海岸鉄道は、途中JR牟岐(むぎ)線を介して、徳島方面に通じています。つまり、徳島観光から足を延ばして、DMVに乗りに来る観光需要が生まれるということです。DMVに乗ったら、やはり鉄路の上を走るだけでなく、道路も乗ってみたいのが人情。その際、手ごろな行先はというと、やはり室戸岬エリアになると思われます。
その際、高知東部交通はどう出るのか。間違いないのは、DMVと競争したら、まず死亡します。DMVは税金投入する気バリバリだし、どうせ乗るなら珍しい方に乗りたいですからね。室戸ジオパークから甲浦方面は撤退するのか。それとも、いっそのことDMVの運行を受託するのか。いずれにせよ、さらなる路線再編は避けられないでしょう。
実のところ高知東部交通は、私が旅行に行った後、10月から路線再編をしています。Wikiを読んだところによると、国庫補助金欲しさの路線再編のようで、何だかなーという感じなのですが、DMVという新たな観光資源により室戸観光が活性化されて、ひいては公共交通機関が守られるのであれば、良いことだと思います。
おまけ~高知竜馬空港へのアクセス
室戸岬から再度バスに乗り(帰り道は、途中からお遍路さんが乗ってきました。お遍路さんも要は観光なのだから、観光客を取り込むことは、地方の公共交通機関にとっては大切なんだなぁ。)、今度は奈半利駅で「ごめん・なはり線」に乗り替え、その日は高知に宿を取りました。本当は高知でも土佐電気鉄道(とさでん交通)の路面電車やバスに乗りまくりたかったのですが、高知についたらもう夜。完全にゲームオーバー。
翌朝、はりまや橋(高知の中心街ですな)から高知竜馬空港行きの空港連絡バスに乗り、とっとと帰ったのですが、そこでも驚くことが。
地元の大手とさでん交通と、貸切バスがメインの高知駅前観光が、空港連絡バスでガチで競争をしている。さすがに価格競争まではしていないのですが、バス停に別々の時刻表が貼ってあったので、共同運行ではないようです。
今回の旅で、ガラガラの宇和島バスや高知東部交通にさんざん乗り、四万十町では運行の曜日が決まっているコミュニティバスの存在まで知り、地方のバス事業者の厳しさを目の当たりにした一方で、高知の都心ではバス事業者同士が消耗戦を繰り広げているとは。
やっぱり、儲からないとダメなんだよなぁバス会社は。儲からないから路線が廃止されたり不便になるし、儲からないから満足な給料を払えなくなり運転手の成り手がいなくなる。さらに言えば、行政の補助金に頼るバス会社は、厳しいコストカットを行政から迫られるので、もっと給料が安くなるのが現実です。
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