東京都交通局(都バス)といえば、公営最大の、全国のバス事業者の中でも最大手のバス事業者です。おおもとの成り立ちは実は水力発電所事業で、現在の東京電力に事業売却をした歴史的経緯から、実は東京都は東京電力の大株主というのは知る人ぞ知る話。
東京電力からの株主配当を都バス事業に充当することで、行政からの赤字補てんなしで運行していたが(約20億円あったそうな)、福島第一原発の事故のあおりで、東京電力は突如無配に転落、都バスの経営状況は一転火の車!…と思いきや、臨海部にタワーマンションがたくさん建ったおかげで利用者が大幅増、経営状況も好調とのこと。臨海部には地下鉄も走っていますが、実は都バスが基幹交通機関なんですね。
ノンステップバスより平らなフルフラットバス登場
この記事を読むような方はご存知でしょうが、ノンステップバスは乗車時に車内に段がないので、足元の不自由な方が乗りやすい。車いすの方も乗りやすいので、バリアフリーの観点からも導入が進んできました。
欠点は、車内の中ドア付近から後ろに進もうとすると、実はそこにさらなる段があるという。ノンステップ化でバスの床下にあった機器類を、バスの後ろに集めたので致し方ないのですが、特に都心部で、乗客がバスの後方に進まないため、ラッシュ時の輸送力が心もとないと…もっというと、詰め込めないわけです。
そこで、登場したのが、今回お目にかかる「フルフラットバス」。乗るために、大塚駅に行ってみましたがな。
大塚駅の南口、都02系統錦糸町行き。車両はスウェーデン製、心なしかハンサムなルックス。
乗車するときは、当然車内に段差がない。中に入ると、車内の中から奥に詰めようとするときにある段差がない。おお!これがフルフラットバスの威力なのか。が、しかし…
- 最後列の座席に座ろうとすると、段差があるぞ!
- 後ろから2列目の座席は、タイヤハウスの上にあるから、さらに高いところにあるぞ!
バスの後方から見ると、こんな感じ。
写真を見ると分かる通り、後方も今のノンステップバスから輸送力が増えたようには思えません。
ちなみに、「ノンステップバス」と「フルフラットバス」の乗車イメージをポスターにしたものが、車内額面に掲示してありました。
手前がフルフラットバス、奥がノンステップバス…あんまり変わらないやないかい(笑)
輸送力がほとんど変わらないのは、後部座席が横二列だからというのもあるでしょう。横一列にすることができれば、もっと輸送力が上がるのでしょうが、そうなれば当然座席数が減るので、反発の声もあるようです。でもね…
連節バスは、どこでも走れるというわけではない
国産化も決まり、連節バス普及の勢いがつきつつあります。輸送力は通常の路線バスの1.5倍あるため、今後も導入が広がりそうです。実際乗ってみると、思いの他小回りが効くのですが、それでも、道路環境が整っていないと導入できない路線は多いです。
そもそも、路線バスというのは昔ながらの道路を通ることが多く、狭あい路を走行することも多いですし、都心部では車庫の出口が狭あいだったりします。車庫から出られないバスなんて考えられないですね(笑)
全国的にバス運転手不足が叫ばれる中、輸送効率の向上が求められるところです。その点、一台のバスでより多くの乗客を運ぶことができるのではないかと、フルフラットバスには期待していましたし、今後さらなる改善を期待したいところです。
ちなみに、フルフラットバスの利点としては、車内の段が少なくなることで、車内転倒事故を減らすというのもあるようです。でもね、こんなに高いところにいすをつくったら、むしろ危ないんじゃないかなぁ。
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